単一レプリカのステートフルアプリケーションを実行する

このページでは、PersistentVolumeとDeploymentを使用して、Kubernetesで単一レプリカのステートフルアプリケーションを実行する方法を説明します。アプリケーションはMySQLです。

目標

  • 自身の環境のディスクを参照するPersistentVolumeを作成します。
  • MySQLのDeploymentを作成します。
  • MySQLをDNS名でクラスター内の他のPodに公開します。

始める前に

  • Kubernetesクラスターが必要、かつそのクラスターと通信するためにkubectlコマンドラインツールが設定されている必要があります。 このチュートリアルは、コントロールプレーンのホストとして動作していない少なくとも2つのノードを持つクラスターで実行することをおすすめします。 まだクラスターがない場合、minikubeを使って作成するか、 以下のいずれかのKubernetesプレイグラウンドも使用できます:

    バージョンを確認するには次のコマンドを実行してください: kubectl version.

  • ここで使用されているPersistentVolumeClaimsの要件を満たすには、デフォルトのStorageClassを使用して動的PersistentVolumeプロビジョナーを作成するか、PersistentVolumesを静的にプロビジョニングする必要があります。

MySQLをデプロイする

Kubernetes Deploymentを作成し、PersistentVolumeClaimを使用して既存のPersistentVolumeに接続することで、ステートフルアプリケーションを実行できます。 たとえば、以下のYAMLファイルはMySQLを実行し、PersistentVolumeClaimを参照するDeploymentを記述しています。 このファイルは/var/lib/mysqlのボリュームマウントを定義してから、20Gのボリュームを要求するPersistentVolumeClaimを作成します。 この要求は、要件を満たす既存のボリューム、または動的プロビジョナーによって満たされます。

注:パスワードはYAMLファイル内に定義されており、これは安全ではありません。安全な解決策についてはKubernetes Secretを参照してください 。

apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  name: mysql
spec:
  ports:
  - port: 3306
  selector:
    app: mysql
  clusterIP: None
---
apiVersion: apps/v1 # for versions before 1.9.0 use apps/v1beta2
kind: Deployment
metadata:
  name: mysql
spec:
  selector:
    matchLabels:
      app: mysql
  strategy:
    type: Recreate
  template:
    metadata:
      labels:
        app: mysql
    spec:
      containers:
      - image: mysql:5.6
        name: mysql
        env:
          # Use secret in real usage
        - name: MYSQL_ROOT_PASSWORD
          value: password
        ports:
        - containerPort: 3306
          name: mysql
        volumeMounts:
        - name: mysql-persistent-storage
          mountPath: /var/lib/mysql
      volumes:
      - name: mysql-persistent-storage
        persistentVolumeClaim:
          claimName: mysql-pv-claim
kind: PersistentVolume
apiVersion: v1
metadata:
  name: mysql-pv-volume
  labels:
    type: local
spec:
  storageClassName: manual
  capacity:
    storage: 20Gi
  accessModes:
    - ReadWriteOnce
  hostPath:
    path: "/mnt/data"
---
apiVersion: v1
kind: PersistentVolumeClaim
metadata:
  name: mysql-pv-claim
spec:
  storageClassName: manual
  accessModes:
    - ReadWriteOnce
  resources:
    requests:
      storage: 20Gi

  1. YAMLファイルに記述されたPVとPVCをデプロイします。

     kubectl create -f https://k8s.io/examples/application/mysql/mysql-pv.yaml
    
  2. YAMLファイルの内容をデプロイします。

     kubectl create -f https://k8s.io/examples/application/mysql/mysql-deployment.yaml
    
  3. 作成したDeploymentの情報を表示します。

     kubectl describe deployment mysql
    
     Name:                 mysql
     Namespace:            default
     CreationTimestamp:    Tue, 01 Nov 2016 11:18:45 -0700
     Labels:               app=mysql
     Annotations:          deployment.kubernetes.io/revision=1
     Selector:             app=mysql
     Replicas:             1 desired | 1 updated | 1 total | 0 available | 1 unavailable
     StrategyType:         Recreate
     MinReadySeconds:      0
     Pod Template:
       Labels:       app=mysql
       Containers:
        mysql:
         Image:      mysql:5.6
         Port:       3306/TCP
         Environment:
           MYSQL_ROOT_PASSWORD:      password
         Mounts:
           /var/lib/mysql from mysql-persistent-storage (rw)
       Volumes:
        mysql-persistent-storage:
         Type:       PersistentVolumeClaim (a reference to a PersistentVolumeClaim in the same namespace)
         ClaimName:  mysql-pv-claim
         ReadOnly:   false
     Conditions:
       Type          Status  Reason
       ----          ------  ------
       Available     False   MinimumReplicasUnavailable
       Progressing   True    ReplicaSetUpdated
     OldReplicaSets:       <none>
     NewReplicaSet:        mysql-63082529 (1/1 replicas created)
     Events:
       FirstSeen    LastSeen    Count    From                SubobjectPath    Type        Reason            Message
       ---------    --------    -----    ----                -------------    --------    ------            -------
       33s          33s         1        {deployment-controller }             Normal      ScalingReplicaSet Scaled up replica set mysql-63082529 to 1
    
  4. Deploymentによって作成されたPodを一覧表示します。

     kubectl get pods -l app=mysql
    
     NAME                   READY     STATUS    RESTARTS   AGE
     mysql-63082529-2z3ki   1/1       Running   0          3m
    
  5. PersistentVolumeClaimを確認します。

     kubectl describe pvc mysql-pv-claim
    
     Name:         mysql-pv-claim
     Namespace:    default
     StorageClass:
     Status:       Bound
     Volume:       mysql-pv-volume
     Labels:       <none>
     Annotations:    pv.kubernetes.io/bind-completed=yes
                     pv.kubernetes.io/bound-by-controller=yes
     Capacity:     20Gi
     Access Modes: RWO
     Events:       <none>
    

MySQLインスタンスにアクセスする

前述のYAMLファイルは、クラスター内の他のPodがデータベースにアクセスできるようにするServiceを作成します。 ServiceのオプションでclusterIP: Noneを指定すると、ServiceのDNS名がPodのIPアドレスに直接解決されます。 このオプションは、ServiceのバックエンドのPodが1つのみであり、Podの数を増やす予定がない場合に適しています。

MySQLクライアントを実行してサーバーに接続します。

kubectl run -it --rm --image=mysql:5.6 --restart=Never mysql-client -- mysql -h mysql -ppassword

このコマンドは、クラスター内にMySQLクライアントを実行する新しいPodを作成し、Serviceを通じてMySQLサーバーに接続します。 接続できれば、ステートフルなMySQLデータベースが稼働していることが確認できます。

Waiting for pod default/mysql-client-274442439-zyp6i to be running, status is Pending, pod ready: false
If you don't see a command prompt, try pressing enter.

mysql>

アップデート

イメージまたはDeploymentの他の部分は、kubectl applyコマンドを使用して通常どおりに更新できます。 ステートフルアプリケーションに固有のいくつかの注意事項を以下に記載します。

  • アプリケーションをスケールしないでください。このセットアップは単一レプリカのアプリケーション専用です。 下層にあるPersistentVolumeは1つのPodにしかマウントできません。 クラスター化されたステートフルアプリケーションについては、StatefulSetのドキュメントを参照してください。
  • Deploymentを定義するYAMLファイルではstrategy: type: Recreateを使用して下さい。 この設定はKubernetesにローリングアップデートを使用 しない ように指示します。 同時に複数のPodを実行することはできないため、ローリングアップデートは使用できません。 Recreate戦略は、更新された設定で新しいPodを作成する前に、最初のPodを停止します。

Deploymentの削除

名前を指定してデプロイしたオブジェクトを削除します。

kubectl delete deployment,svc mysql
kubectl delete pvc mysql-pv-claim
kubectl delete pv mysql-pv-volume

PersistentVolumeを手動でプロビジョニングした場合は、PersistentVolumeを手動で削除し、また、下層にあるリソースも解放する必要があります。 動的プロビジョニング機能を使用した場合は、PersistentVolumeClaimを削除すれば、自動的にPersistentVolumeも削除されます。 一部の動的プロビジョナー(EBSやPDなど)は、PersistentVolumeを削除すると同時に下層にあるリソースも解放します。

次の項目

最終更新 May 30, 2020 at 3:47 PM PST: add ja pages (283572af5)